田井畑鷲尾旧屋(たゐのはたわしのをのきゆうおく) 田井畑の村長に鷲尾次郎兵衛といふ者あり。この祖先一谷合戦の時九郎判官殿に鵯越の嶮路を案内しける支族の中なり。旧記紛失してその証詳らかならず。
兜鎧(かぶとよろひ) その時拝領しけるとなり。兜は筋甲にて鍬形は独鈷の彫物あり。鎧は胴六枚札にて左右に四所蝶番あり。引き合はせは後の方なり。また引き合はせの上を覆ふ背板あり。長さは押着の板より下散の裳までこれあり。縅は惣紫糸にて裳は紅なり。革は承平革、小手袖その外とも草花の模様あり。また喉輸佩立等もこれあり。
空穂(うつぼ) 熊毛をもつて製りたるなり。
征矢十六筋(そやじゅうろくすじ) 根は雁俣鎧通しの類なり。大小にて十六本あり。

HOME > 巻之八 八部郡
inserted by FC2 system