熊谷平山一二懸(くまがへひらやまいちにんかけ) 三谷の西なり。熊谷・平山搦手にありけるが、熊谷父子先陣をせんとて、田井畑といふ古道を経て一谷の浪打際に打ち出でて西木戸より寄せたりける。城内には静まり返つて音もせず。いざ名乗らんとて大音声上げて、武蔵国の住人熊谷次郎直実子息小次郎直家、一谷の先陣なりと名乗りける。ややあつて、後より二騎つづいて来たる。誰と問はば、平山武者所季重・成田五郎と答ふ。これら熊谷に魁せられ無念の体『平家物語』に見えたり。






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