鵺塚（ぬえつか）芦屋川、住吉川の間にあり。今さだかならず。
むかし、源三位頼政、蟇目にて射落としたる化鳥、｛舟兪｝に乗せて西海へ流す。
この満に流れよりて止まるを、浦人ここに埋むといふ。
また東成郡滓上江村の東、田圃の中にも鵺塚と称するあり。
いづれも分明ならず。按ずるに、 また鵺の事も一勘あり。別記に書す。







鵺塚（ぬえづか）　芦屋市浜芦屋町5
『平家物語』によれば、 清涼殿に毎晩のように黒煙と共に不気味な鳴き声が響き渡り、恐れた二条天皇は病の身となる。
薬や祈祷も効果はなく、弓の達人である源頼政に怪物退治を命じ、頼政は源頼光より受け継いだ弓で射て、猪早太がとどめを差した、
天皇の体調も回復し、褒美に獅子王という刀を貰賜した。
退治された鵺の祟りを恐れて、都の人々は死体を船に乗せて鴨川に流した。
淀川を下った船は大阪東成郡に一旦漂着した後、海を漂って芦屋川と住吉川の間の浜に打ち上げられた。
芦屋の人々はこの屍骸をねんごろに葬り、鵺塚を造って弔ったという。