海清寺(かいせいじ) 西宮北の方にあり、巨鰲山と号す。禅宗、京師妙心寺に属す。
応永年中、無因禅師の開基なり。この人俗姓は平氏にして、尾州の産なり。
九歳にして建仁寺の可翁に投じて薙染し、十七歳にて大僧となり、気宇高潔にして天性の霊聡なり。もとより杜詩を嗜む。
もっとも『周易』を善くし、妙心寺授翁和尚に宗意を弘闡して、四方に振るひ、つひにその法を嗣いで、関山国師の的孫とす。
時に雲州太守、波多野義公、洛下に院を建て師を棲ましめ、これを退蔵といふ。
その後、師、この地に当寺を開き錫を移してここに居り、大いに法雷を轟かす。
また尾州犬山に瑞泉寺を建てて、師を請して開祖とす。
晩年、大相国義持公、師を尊んで相見えんと請ふ。師、老病によって赴かず。つひに当寺に退帰して、応永十七年六月初四日示寂す。寿齢八十有五歳。門弟子、全身を奉じて寺中に塔す。その法を得し者みな一方の導師なり。






海清寺(かいせいじ)  西宮市六湛寺町7-25
臨済宗妙心寺派  巨鰲山



三門



本堂   本尊:釈迦仏








鐘楼




クスノキ  県指定天然記念物
HOME > 巻之七 武庫郡
inserted by FC2 system