千里山(ちさとやま) またの名寝山と云ふ。熊野田村の上方にして、島下・豊島の二郡に続いて山脈三里に及べり。九十九谷あり。今一つを開いて百に足らず。足らんなは虎臥す野辺とならんと樵夫の諷ふ所なり。その広大なるをもって千里山と称す。待兼山・島熊山・邂逅山等みな千里山の山脈なり。また寝山と詠ずる和歌『夫木集』に見えたり。また『草山集』には熊野田の千里山と書す。
     『夫木』    つれて行く寝山もしらぬ白鳥のさきのよもうき身の契りかな    行 家
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