辻碑(つじのいしぶみ)大鹿の東、辻村にあり。この所摂津国中央の正当(しょうとう)なりとす。ゆゑに辻村といふ。
陸奥の壷碑(つぼのいしぶみ)に効って石碑あり。高さ三尺、横二尺五寸。いづれの代建て初めけん。年歴詳らかならず。
側に八幡宮・牛頭天王嗣・薬師堂あり。この所の生土神とす。
 碑銘に曰く、
  東寺に距ること十里。関戸に距ること七里。須磨に距ること七里。天王に距ること七里。大小路に距ること七里。
 文字東寺以下多く磨滅して見えず。東寺は京師の東寺なり。関戸は摂城の堺、山崎関戸院なり。須磨は八田部須摩里なり。
天王は有馬郡摂丹の堺、母子村の北、天王嶺なり。大小路は摂泉の堺、住吉郡堺津大小路なり。
ある人、『新古今』の右大将頼朝公陸奥壷碑の恋歌によりて狂歌を読める、
  物おもふこころ伊丹てぞ昆陽やここ猪名にはあらぬ辻の碑


多田道道標   従是多田御社江 一里半  元禄14年(1701) 


辻の碑(つじのいしぶみ) 伊丹市北伊丹1-89
西国街道と多田街道の交差する辻に建っ道標。昭和40年に市指定文化財。


八坂神社跡地
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