忠孝山小童寺(ちゆうこうさんしようどうじ) 多田荘丙畝野村にあり。浄土宗。
本尊阿弥陀仏 恵心僧都の作。長三尺寸ばかり。
観音堂 聖観音を安ず。
幸寿丸塔(こうじゆまる) 本堂の西、南向にあり。
藤原仲光塔(ふじはらのなかみつ) 同所に隣る。
美文丸塔(にじようまる)本堂の東南にあり。
平井保昌塔(ひらゐほうしようう) 同所にあり。東向なり。
源綱塔(みなもとのつな) 同所に隣る。松浦肥前守これを建てる。
当寺は満仲公の家臣藤原仲光が長子幸寿丸の旧跡なり。満仲公の御子美丈丸習学の為に仲山寺に登山なさしめ、一向経論を見る事を嫌ひ、十五歳の頃より勇猛にして山野に猟し、殺生を常として放逸の行跡のみなり。父これを聞きたまひ父子の慈愛深切 なりといへども、あに人の為に法を乱さんや、急ぎ美丈が不孝不義を誅して疾々首を見すべし。これ一殺多生の理なりとて仲光へ厳命ありければ、今は力なく密かに美丈丸を誅し奉りたる体にて、比叡山横川の恵心院源信少僧都の寺へ登し、泣く泣く我が子の幸寿丸の首を斬りて身代はりとし、主君へ見参に備へ奉る。美丈丸も忠節を感じ、修学を励み、出家し源賢阿闍梨と成り、御父満仲公に見へ、幸寿丸が菩提の為にこの寺を創し、すなはち源賢を開基として小童寺とぞ号しける。
     幸寿丸辞世   君がためいのちにかはる後の世のやみぢをてらせ山の端の月



小童寺(しょうどうじ) 川西市西畦野1-7-1


本堂


鐘楼


三廟 藤原仲光・幸寿丸・美女丸


平井保昌塔


渡辺綱公 御廟

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