昆陽野(こやの) 昆陽荘十四村あり。寺本・池尻・新田・山田・時友・友行・野間・東富松・南野・堀池・千僧・大鹿・御願塚・昆陽等なり。すべて旧名昆陽野といふ。昆陽村は京師より山陽道の往還にして、駅舎あり。町名七、屈邑四村、昆陽野・昆陽の松原、和歌に詠ず。
『続古』 津国のこやの芦ふき野分して隙こそあれと人に告げばや 光 俊
『新後拾』 難波潟芦火の煙そのままにやがてぞかすむこやの松原 等持院贈左大臣
『夫木』 立ちかへり道ある御代にあはんとやおなじこや野の松虫の声 家 隆
同 おし照や難波の浦に見わたせば夕日かくるるこやの松原 仲 業
『風雅』 津国の井奈野の霧のたえだえにあらはれやらしこやの松原 弾正尹邦省親王
家 集 絵に書きていざ唐土の人に見せんかすみわたれるこやの松原 家 隆