伊丹(いたみ) 町名二十八、属邑十二。河辺郡都会の地にして、商人多し。京師・大坂・有馬・三田等の駅なり。



名産伊丹酒 酒匠の家六十余戸あり。みな美酒数千斛を造りて諸国へ運送す。
ことには禁裏調貢の御銘を老松と称じて山木氏にて造る。あるいは冨士白雪の名酒は筒井氏にて造る。菊名酒は八尾氏にて造る。
その外、家々の銘を斗樽の外巻に印して神崎の浜に送り、渡海の船に隋んで多くは関東へ遣はす。
当所の領主は近衛殿にして、むかしより村甲は酒匠の者、かはるがはる郷中の支配を蒙る。
   賤の女や袋あらひの水の汁




伊丹郷町



旧岡田家住宅(きゅうおかだけじゅうたく) 伊丹市宮ノ前2-5-28
重要文化財(平成4年1月21日指定)
店舗・釜屋・酒蔵からなり、江戸時代の延宝2年(1674年)に酒造家松屋与兵衛が建てた兵庫県内最古の町家。
岡田家の所有となったのは明治33年で、昭和59年(1984)まで酒造りが行われていた。



長寿蔵(ちょうじゅぐら) 伊丹市中央3-4-15
伊丹市景観重要建造物 {白雪ブルワリービレッジ長寿蔵」 (平成19年11月1日指定)
長寿蔵は、19世紀中期に建てられた酒蔵で、市内に現存する数少ない酒蔵の一つとなっている。
漆喰と焼き板の壁、本瓦葺きの三連棟の特徴を有し、再現された漆喰塀とともに、伊丹郷町の景観を今に伝えている。
阪神・淡路大震災で被災したのを契機に、レストラン・展示施設に改修し、活用されている。           伊丹市



HOME > 巻之六 河辺郡
inserted by FC2 system