犬覚寺(だいかくじ)同所にあり。月峯山と号す。真言宗。初めは能勢郡月峯にあり。末巻に見えたり。
中興琳海上人、嘉暦年中ここに遷す。
本尊千手観音 日羅の作。長一尺五寸。
当寺の什宝に、平相国清盛、高倉院に皇子降誕の祈願文・正和二年常盤井殿祈文・延文五年に銀剣施人文・細川清氏書簡・将軍義詮卿の和歌二首、ならびに、諸名士の施嚫文等あり。源義則旅館の所なり。ここにて和歌を詠ず。
また大納言行忠卿の歌あり。
   あし茸のこやのしのやのかりなから幾夜かかはる旅ねなるらん     義 則
   都にて思ひ出でてやしのはまし玉江の浪の立ちかへりなは     行 忠
十王堂 当寺にあり。海賊有りて多くの宝を盗み取る、その業因により、我が子覚えず海に入りて見えず。かの賊発心してここに一宇を建てて、十王の十体を安ず。






大覚寺(だいかくじ)  尼崎市寺町9
律宗 月峯山
推古13年(605)聖徳太子が百済の高僧日羅上人に命じて長洲の浦に造らせたという。
建治元年(1275)に琳海上人が道場を創め、嘉暦元年(1326)には同地にあった値願上人創建の燈籠堂も寄進されて寺容が整う。
寺内には市庭(場)が設けられて賑わった。
南北朝時代には、足利2代将軍義詮などは半年にわたって在陣。元和年間尼崎城築城にあたって旧東本町から現在地に移転。
明治10年の大火で焼失し、再建された。


本堂  本尊:千手十一面観音


鐘楼・護摩堂


弁財天堂


聖天堂  市庭の鎮守神で、中世の琵琶法師・覚一検校(かくいちけんぎょう)の守護神であもあった。


鎮守堂 石清水八幡者・賀茂下社・貴布禰社・賀茂上社・豊成稲荷社


薬師堂


契沖歌碑  しなが鳥けさや氷もゐな河の山彦とよむ音も聞こえず






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