二魂坊火(にこんぼうのひ)むかし吹田村に日光坊(にこんぼう)といふ山伏あり。法力を争ひ互に剣刀を振り一人の山伏を害す。
その罪免れがたく坑(いしこづめ)に処せらる。その怨念遺りて、雨夜には火の魂二つ出でて野外に争ひ樹上に止まって往来の人を却(おびやか)す。
これを二魂坊、あるいは日光坊が火ともいへり。これ虎官(とらがみや)の火にいへるごとく、地中の暑熱陰陽(しょうねついんよう)に剋してあらはれるなるペし。
蚯蚓(きゆういん)の火も同じ事なり。恐るるに足らず。



吹田市高浜町
高浜神社に伝わる二魂坊火の話

HOME > 巻之五 島下郡
inserted by FC2 system