麻茅原(あさぢがはら)  金竜寺の麓にあり。
里諺に云ふ、能因法師この原にて美女の死したるを見たまひてかくぞ詠じたまふ。
      浅茅原まとふ黒髪きのふまでたが手枕のうへに置きけん    能因法師
と詠吟したまへば、かの屍動き出でて草むらより枕をもたげ、悦ぶけしき見えて、またもとのごとし。
つひにここに葬り、印の石を置ゑて弔ひたまふとなん。この石今にあり。

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