片葉芦(かたはのあし) 按ずるにすべて難波は川々多し。淀川その中の首たり。
その岸に芦生ひ繁りて、両葉に出でたるも水の流れ早きにより随ふてみな片薬のごとく昼夜たえず動く。つひにその性を継いで後より生ひ出づるもの片葉の芦多し。かるがゆゑに水辺ならざる所にもあり。
難波に際らず、八幡・淀・伏見・宇治等にも片葉の芦多し。あるが云く、賊波は常に西風烈しきにより芦の葉東へ吹き靡きて片葉となる物多しといふは僻案なり。
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