難波坐生国国魂神社(なにはにいますいくくにたまのかみのやしろ) 高津の南にあり。祭神、『延喜式』に曰く「生国国魂二座、明神大、月次・相嘗・新嘗」。
『三代実録』曰く「貞観元年春正月、従四位下を授け奉り、秋九月、奉幣、祈雨の為にここに祈る」。『旧事記』曰く「活玉命新田部直祖なり」云々。大坂上町市中の産土神とす。例祭六月二十八日、御祓と称す。九月九日を秋祭といふ。
当社勧請のはじめは、年歴久遠にして詳らかならず。社頭は今の御城の地なりしが、明応四年、本願寺蓮如上人御堂創建の時、やしろを側に移す。その後天正年中、平信長と本願寺顕如上人と数ヶ年合戦の時、兵燹に罹つて灰燼となる。わづかに神璽を鎮めて小祠を営む。慶長のはじめ、豊太閤金城を修補したまふ時、今の社地に遷さる。奉行は片桐東市且元とぞ聞こえし。
末社 北の方、天照皇太神宮・豊受皇太神宮・大己貴命・事代主命・少産名命。南の方、八幡宮・住吉社・厳島社・金毘羅権現。
本地堂 本尊薬師如来を安ず。聖徳太子御作。
大師堂 石像、弘法大師自作の影なりとぞ。
太子堂 聖徳王十六歳の尊影を安ず。当社初めて建営したまふなり。
聖天祠 境内南向にあり。
神宝霊玉 神輿に鎮め奉る。社僧の説に曰く、これ生魂命化現の霊玉にて、すなはち出現の地を玉造といふとぞ。しかれどもいまだ神伝聞こえず。神輿は官家より賜ふ。
甫坊 社頭の北にあり。社僧貫首とす。真言宗志宜山法案寺と号す。
稲荷祠 南坊庭中にあり。いにしへは御城中に有りて榎稲荷と称す。
石灯炉 南坊庭中にあり。豊臣秀頼公の御寄附なり。奇石、高四尺。
社司 神主松下氏、禰宜七人、神子四人。
祉僧 桜本坊・所蔵院・遍照院・曼荼羅院・観音院・医王院・地蔵院・党園院・持宝院。
それ当社は祈雨祭式に難波大社と称して、生土広くつねに詣人多く、道頓堀より天王寺までの中間なれば繁花の地にして、杜頭の賑西の方をはるかに見わたせば、市中の万戸・河口の帆ばしら、さながら雲をつんざくに似たり。ことに社檀近年再営ありて、壮麗にして、きねが鼓め音、鈴の音玲瓏たり。境内の田楽茶屋は手拍子に赤前垂飄り、門前の池には、夏日蓮の花紅白をまじへて咲き乱れ、池辺に眺む床几には荷葉の匂芳しく、池は湯と成って涼しき蓮などと興じ、馬場前の麗情、唐わたりの観物、歯磨売の居合、女祭文、浮世物まね、売卜法印軒端をつらね、切艾屋、作花店日々に新たにして、社頭の賑市店の繁昌は、みなこれ神徳の霊験とぞしられける。  
弁財天祠 活玉社境内門前北側にあり。伝へ云ふ、むかし海中出視の霊像なりとぞ。毎年正月七日富会あり。
妙見祠 同所西向にあり。諺に云ふ、聖徳太子天より感得したまふなりとぞ。この二祠南坊支配なり。




生國魂神社(いくくにたまじんじゃ)  大阪市天王寺区生玉町13-9
難波坐生国咲国魂神社(なにわいますいくくにさきくにたま)二座 名神大社
社伝では、神武東征の時、難波津に上陸した神武天皇が、国土の神である生島神・足島神を大阪城付近に祀る。
天正11年(1583年)、大坂城築城に際し、豊臣秀吉が現在地に社殿を造営し、天正13年(1585年)に遷座した。


拝殿  昭和20年(1945年)の空襲で焼失。
昭和24年(1949年)、木造の本殿を再建したが、翌年のジェーン台風で倒壊。昭和31年(1956年)、鉄筋コンクリートで本殿を再建。


本殿  祭神:生島大神(いくしま) ・足島大神(たるしま)  相殿:大物主大神(おおくにぬし)  
流造の屋根に千鳥破風、唐破風、その上に千鳥破風と3重に破風を乗せる「生国魂造」。


北門

皇大神宮  祭神:天照皇大御神
住吉社 祭神:底筒男神・中筒男神・表筒男神  天満宮  祭神:菅原道真)

鳥居

浄瑠璃神社(じょうるり) 
近松門左衛門を始めとした文楽の先賢を祀る。
明治9年に竹本春太夫・鶴沢清七等と共に3業
(太夫・三味線・人形)の先師38柱の御霊を合祀。
諸芸上達の守護神。
家造祖神社(やづくりみおや) 
祭神:手置帆負神(たおきほおい)・彦狭知神(ひこさしり)
家造りの祖神で土木建築の守護神

鞴神社(ふいご) 
祭神:天目一箇神(あめのまひとつ)・ 石凝杼売神
(いしこりどめ) ・香具土神(かぐつち) 鍛冶の神で、
製鉄、製鋼、鋳金また機械工具等を商う金物業界
の守護神.
城方向八幡宮(きたむき)> 
祭神:譽田別命(こんだわけ)・ 氣長足媛命(おきなか
たらしひめ)・ 玉依比賣命(たまよりひめ)
大坂城鬼門の守護神。
方除・厄除・勝運の神。
源九郎稲荷神社(げんくろういなり) 
祭神:源九郎稲荷大明神・八兵衛大明神
奈良県吉野の源九郎稲荷の分祠。
八兵衛大明神は道頓堀中座の閉館に伴い、
劇場より合祀した芸能の神。
鴫野神社(しぎの) 
祭神:市寸島比賣命 ・大宮賣命・淀姫神
大坂城東側に祀られた鴫野弁天社と淀君神社を
明治10年(1877)11月、練兵場造成のため合祀。
稲荷神社  祭神:倉稲御魂神
佐賀県祐徳稲荷の分祠。
鍋島藩とその蔵屋敷出入りの商家の崇敬が篤かった。
巳さんの御神木


精鎮社    祭神:恵比寿 ・弁財天
表参道脇の蓮池にあった弁財天社が、地下鉄工事で蓮池が埋められたため、現在地に移転。水産業、太公望の守護神。
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