『金葉』 | 屏風の絵に、天王寺の西門にて法師の舟に乗りてにしざまにこぎはなれ行くかた書きたる所をよめる あみだ仏ととなふる声をかぢにてやくるしき海をこぎはなもらん | 源俊頼 |
『新勅撰』 | 天王寺の西門にてよみ侍りける さはりたく入日を見てもおもふかなこれこそ西の門出なりけれ | 郁芳門院安芸 |
『続後撰』 | 天王寺にまうでてよみ侍る 西を思ふ心ありてぞ津の国の難波あたりは見るペかりける | 後京極 |
同 | かの寺に戒師はじめておくとてよみ侍りける 今さらにたもとは玉となりならむ難波の寺の人わすれ貝 | 同 |
『山家』 | 同行に侍りける上人月の頃天王寺にこもりたりと聞きていひつかはしける いとどいかに西にかたぷく月影をつねよりもげに君したふらん | 西行法師 |
『拾遺愚草』 | 文治の頃殷富門院大輔、天王寺に十首の歌よみ侍りしに、月前念仏 西をおもふ泪にそへて引く玉のひかりあらはす秋の夜のつき | 定 家 |
同 | 於難波精舎即事 吹きはらへ心の塵もなにはがたきよきなぎさの法の浦風 | 同 |
家 集 | 九月二十日あまりの程天王寺へ参り侍りしに、伊賀入道為業がもとよりこもりて侍りけるが 君こずば誰に見せまし津の国の難波あたりの秋のけしきを | 頼 政 |
『夫木』 | 日想観のこころを 海にいる難波の浦の夕日こそ西にさしけるひかりなりけれ | 為 家 |
『歌枕』 | 世をてらすちかひの海の入日こそ難波のみ津の寺と成りけれ | 同 |
『大木』 | 世をすくふちかひの海の入日こそ難故の水をてらすなりけれ | 慈 鎮 |
『拾玉』 | 方便品諸法実相 難波潟ふかき江よりぞ流れ出づるまことをしるは水ぐきの跡 | 同 |
同 | 津の国のあしげの駒にのりの跡は我が思ひいる道にぞありける | 同 |
同 | 津の回のあしの八重ぶき隙もなくとなへて過ぎよ南無あみだ仏 | 同 |
同 | 法の水をけふかきそむる難波江に月かげさむし秋のあかつき | 同 |
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