月江寺(げつこうじ) 天王寺町にあり。浄土宗女僧寺。光明山林照院と号す。開基東印比丘尼。
永禄十年草創。中興恵光尼。
本尊阿弥陀仏 恵心の作。座像三尺ばかり。寺内に桜花ありて弥生の盛りには美麗なり。
また藤の棚ありて花の頃は海ならぬきぎ波よするおもかげ。茶店には土器投げあり。
東の門外の隍は、天正年中織田信長の勇将佐久間信盛の城跡なり。世に真田が抜道といふは謬ならん。
この所、初秋の頃、虫の声多きゆゑ虫谷とよぶ。すべてこの辺の寺々には花水うるはしくして四時の眺望あり。
いはゆる吉祥寺の桜数珠ありて花の香芬々たり。ここに遊行柳・短冊塚。天瑞寺には萩多くして秋の綻岸を盛りとす。
また洞岩寺の桜・勝鬘院の八重桜・菩提寺の糸桜・降専寺の山吹・しだり桜など、いづれも幽艶にして遅日の眺めなるぺし。






月江寺(げっこうじ) 大阪市天王寺区生玉寺町3-13
浄土宗 光明山 林照院
元禄元年(1688)東印尼の創建、享保年間(1716から36)3世俊恵尼再興。


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中川収斎墓
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