鷹甘部旧蹟(たかかひのきゆうせき) 鷹合村をいふ。『日本紀』日く、仁徳天皇四十三年秋九月、阿弭古といふもの異しき烏を捕へて天皇に献る。酒君を召してこれを見せしめたまへは対へて云ふ、この鳥百済国に名を倶知と云ふ。ここによって酒君に養はしむ。すなはち葦緡をその足につけ小鈴をもつてその尾につけ、腕の上に居ゑて天皇に上る。この日百舌鳥野に行事あつて鷹を放ち雉子を獲さしむ。これ鷹狩の初めなり。これより鷹甘部を定め、その鷹を飼ふ所を鷹甘邑といふ。今の鷹匠の始なり。
『夫木』 | をしかはのあしをの倶知を引きすゑて百舌鳥野の御狩始めとぞきく | 公 朝 |
同 | 御狩野のくち野の尾花なびくまで羽風はげしきましろふの鷹 | 顕 仲 |
『柳川百首』 | 紫の御狩はゆゆしましろなる倶知の羽がひに雪もりぼひて | 俊 頼 |