○朝日山荘厳浄土寺(あさひさんしょうごんこうどじ)神宮寺の東にあり。真言宗。
 白河院御宇応徳元年津守国基本の開基なり。中祖は文応元年興正菩薩重興せり。
 本尊不動明王 弘法大師の作なり。弁財天 定朝の作。左弘法大師、右興正菩薩。
 告礒石(つげそいし)伝日く、国基当寺を建立の時、紀州和歌浦より礎石を求む。出船の時節風波穏やかならずして運送滞りければ、国益和歌 一首を詠じ玉津島神に上る、
       年ふれど老いもせずして和歌の浦の幾代になりぬ玉浮島姫    国 基
 夜半に天女出現ましまし海上風波静かにして思ひのままに巨石を送るとぞ。これ和歌感応の験にや。
 もと当山は古寺にして、朱雀帝の御宇天慶三年将門・純友誅罰の時、当寺の尊像に祈りその功を得たり。その後国基詔をうけて再興あらんと  て地を開くの時、三尺有余の金札を掘り出だせり。その銘に云ふ「七宝荘厳極楽浄土」と云々。
 これによって都卒内院に表し境内方八町勅願所となれり。その後十三年を歴で、堀川院御宇永長元年三月、勅使廷尉宮道式賢卿、講師横川 慶朝僧都、読師西塔宗心阿閑梨等開元供養あり。諸堂巍然として荘厳炳焉たり。
 星霜累りて今は形ばかりの浄域となれり。愚按ずるに、国基の再建供養の体、封境の地など考へみるに、今の神宮寺と一双の地と見えたり。
 鉢洗石 当寺境内にあり。

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